― 解説 ―

【夢のうつつ、現つのゆめ】

人形劇ではありません、これは夢です。

この作品はタイトルの指すとおり、夢と現つの間をいきかう奇妙で不思議な世界を描いた短編集です。現実の中にあるフトした夢の世界、夢の中で感じる奇妙な現実感、そんな説明不可能な感覚を大釜に入れて煮込み、かき混ぜ、ヒシャクですくって一滴づつ盃にたらしてみました。
今回はとりあえず三杯飲んでいただこうと思っています。ただし、お味の程は保証しかねます。口慣れない味で顔をしかめる方もいらっしゃるかと思います。意外にうまいとおかわりを所望されるかも知れません。どの作品もストーリーらしきものはあっても、つじつまがあわなかったり意味不明だったりしますので、決してまじめに考えないで下さい。わけがわからなくてもおもしろい夢もあり、夢にみそうな不思議な現実もあるものです。盃はすべて〈人形〉につくってあります。あくまでも皆サマのお好みのまま、御自由にお味わい下さい。悪夢にうなされないことをお祈りいたします

( 岡本芳一)